光のエネルギーをレンズで集めて金属を溶かす加工方法。切削加工では難しい超硬合金などの難削材や、セラミックなどの硬脆材の微細加工を可能にしています。
板金の切断加工では定番ともいえる加工方法です。
金型を使わず、図形データを取り込むことで複雑な形状の切断も簡単におこなえます。硬すぎる金属から柔らかい布地まで、素材に合わせてレンズや照射出力を変えることで対応。
狭い範囲にレーザー光を照射するので熱の影響による変形の心配が少なく、ピンポイントでムラなく均一に微細な加工ができます。
作業の際には、加工物を押さえたり持ったりなど直接触れないので、変形やクラックの発生を抑えることができます。また、せん断するわけではないのでバリ・カエリがない美しい切断面。後処理に手間がかかりません。
レーザー光で融解または蒸発させる非接触加工なので、粉塵による除去作業や交換作業などの手間がありません。レンズ面をきれいに保つぐらいで、メンテナンスが簡単です。
レーザー加工の加工速度は遅いです。また、レーザー加工は光線同士が交わることで威力が発揮できるので適切な焦点距離が必要。その範囲内でないとエネルギーが集中できず素材を溶かすことができません。
レーザー加工機は性能が良いですが、精密機器となるため導入費用は高額です。さらに、消耗品や維持費、電気などの光熱費、焦点レンズやミラーの定期的な交換費用とコストが高いです。
レーザー加工と同様に、金属の薄板を加工する方法としてエッチング加工があります。化学薬品による腐食作用を利用したエッチング加工とレーザー加工との違いを紹介します。
レーザー加工、エッチング加工ともに金型が不要なため、どちらも試作には向いています。
一方で大量生産においては、レーザー加工はコスト面において量産効果が出にくいです。エッチング加工では、プレス加工ほどではありませんが、量産効果によるコスト削減に繋がります。
レーザー加工では切削加工のように刃が直接触れることがないため、バリやカエリの発生を抑えられます。ただし、加工速度を早くするとバリやドロスの発生につながることもあります。
一方で化学薬品を用いて腐食作用で加工するエッチング加工では、原理的にバリや歪みが発生しません。
どちらも材質によりますが、レーザー加工では0.15~6㎜程度、エッチング加工では0.005㎜~1.5㎜程度が対応範囲になります。
薄い加工はエッチング加工、比較的厚みのある加工はレーザー加工の方が向いていると言えます。
レーザー加工では、困難な超硬金属の加工も可能であり、かつピンポイントでムラなくきれいに切断できるので、仕上がりも期待できます。
一方で大量生産を行う場合は、他の加工方法を検討した方がコストメリットが出やすいです。レーザー加工と同様に精度が高い加工方法としてエッチング加工があるため、大量生産を行うならエッチング加工も検討してみると良いでしょう。このサイトではエッチング加工について特集しているので併せてご確認ください。
※選定基準…Googleにて「エッチング加工」と検索した際に表示されるエッチング加工会社27社の中から、ISO9001を取得している国内生産会社をそれぞれ以下の基準で選出しています(2022年2月3日調査時点)。
・まず相談するべきエッチング加工会社…1個から制作可能で、図面の設計~複合加工まで対応している会社
・大量生産対応のエッチング加工会社…大量生産可能で生産拠点が最も多い会社(5拠点)
・特殊素材対応のエッチング加工会社…最も対応している素材の種類数が多い会社(21種類)