合金である真鍮は金色に近い美しい色をした素材です。半永久的に文字やデザインをエッチング加工できます。ここでは真鍮の概要や特徴について、わかりやすく解説します。
真鍮は別名・黄銅(こうどう・おうどう)と呼ばれており、銅に亜鉛を20%以上含んだ合金です。熱での加工がしやすい金属で、デザインが細かいインテリア用品やアクセサリーなどの装飾品、文房具などにも使用されます。
銅と亜鉛を混ぜて作られますが、亜鉛をどの程度含んでいるかによって、同じ原料を使っていても、異なる特徴を持った素材に仕上がるのが特徴です。亜鉛含有量が少ない場合、赤みが強く軟らかい素材になり、亜鉛が多い場合は、金色に近い色で硬い素材になります。亜鉛が20%以上のものを真鍮と呼びますが、5〜20%が丹銅、30%が七三黄銅、40%が六四黄銅というように、含有量によってそれぞれ名前がついています。
真鍮はサックスやトランペットなどの管楽器にも使われる存在です。管楽器の楽団をブラスバンドと呼びますが、ブラス(brass)は英語で真鍮という意味があります。日本では江戸時代中期頃から真鍮が使われるようになり、お財布に入っている5円玉にも真鍮が使われています。
真鍮は金色に近い色で、美しく輝くのが特徴です。ただ、耐食性が高くないため、塗装を施さないとすぐに変色してしまいます。メラミン樹脂を使って、焼付塗装をするのが一般的です。
真鍮にエッチングした文字やデザインは半永久的に残り、消えてしまうことはありません。視認性を高めるエッチングにしたい場合は、髪の毛のような細い線を入れるヘアライン加工がおすすめです。
エッチング(腐食)を用いた真鍮の銘板は、ほかの金属に比べて長い期間利用できるのが強みです。そのため産業用機器などの機器銘板としてもよく用いられています。
加工は、まず真鍮などの金属に感光剤を塗り、耐食性の皮膜を構成してから、金属を溶解する薬剤によってエッチングを行います。その後、エッチングにより凹んだ部分に塗料が流し込まれます。
真鍮の板板(C2680-1/2H)を用いたエッチング加工の事例です。
小さい穴が無数に空いていたためにレーザーでは時間がかかってしまうと判断され、エッチングでブランク加工が行われています。
簡易金型を設計から手掛けていることもあり、高精度な加工が可能なことから、このようなカール曲げにも精度が確保されています。
真鍮のプレート表面に文字をエッチングしたものです。平板とは異なり、10mmほどの真鍮曲げ加工がほどこされていることによって、奥行きが生まれています。エッチング後には黒色入れ加工を行い、さらにクリア加工でコーティングをして表面が美しく仕上げられているのが特徴です。
また、裏面にはナットが溶接されており、化粧ビスで留められるようになっています。
1.0mm厚の真鍮板へとエッチング加工によって凹みを作り、そこに焼き付け塗料を色入れしたものです。
真鍮板は折り曲げ加工により15mmの立ち上がりもほどこされています。
540mm×400mmサイズの真鍮板には字がびっしりと並んでいますが、しっかり読み込める点に加工技術の高さが感じられます。
裏に一回り小さい金属板をはめ込んであるため、壁へも容易に取り付けられます。
真鍮は加工がしやすく、半永久的に文字やデザインを残せる金属です。防耐食のための塗装処理は必要ですが、正しく処理すれば機械銘板やネームプレート、認証銘板として高級感を感じさせる製品が作れます。
※選定基準…Googleにて「エッチング加工」と検索した際に表示されるエッチング加工会社27社の中から、ISO9001を取得している国内生産会社をそれぞれ以下の基準で選出しています(2022年2月3日調査時点)。
・まず相談するべきエッチング加工会社…1個から制作可能で、図面の設計~複合加工まで対応している会社
・大量生産対応のエッチング加工会社…大量生産可能で生産拠点が最も多い会社(5拠点)
・特殊素材対応のエッチング加工会社…最も対応している素材の種類数が多い会社(21種類)