ここでは「エッチングテーパー」について紹介します。エッチングテーパーの「テーパー」は、英語で「先細になること」を意味する「taper」が由来です。
エッチング加工は、エッチング(腐食)をほどこしたい金属板などの一部分を薬液で溶かし、必要とされる形状に製造することです。腐食の作用を利用することで色々な金属に細密な加工をほどこすこともできます。
では、エッチング加工におけるテーパーとは何なのか、どんな特徴があるのかを詳しく説明します。
エッチング加工にもよりますが、一般的なエッチングで金属を貫通した場合、表面と裏面は同じ幅となります。
一方のエッチングテーパーは、エッチングをほどこした金属の断面中心に「出っ張り」が現れます。これが「テーパー」と呼ばれるもので、エッチングテーパーの特徴にもなっています。
テーパーは単に出っ張っているわけではなく、これを利用することでさまざまな業界で用いられるアイテムが製造されています。
エッチング加工を行う際は金属の表側と裏側の腐食量を調整することで、テーパーの位置を変えることができます。これは「表裏差テーパー」と呼ばれ、例えば表側より裏側のテーパーを鋭くさせるといったことも可能となります。こうしたテーパーをもつエッチング加工品は、対象とする物をカット・切断、反り落とすといったアイテムとして利用されています。
金属板などを両面から1度にエッチングするのではなく、マスキングをほどこすことで片面のみの加工となります。片面のみエッチングを行うと断面に段差の形状を作ることができます。これは「ハーフエッチング」と呼ばれ、テーパーは「段差テーパー」と言われることもあります。
ハーフエッチングを用いると、金属板にポケット状の加工をほどこすことができ、その深さもある程度の調整を行えます。
段差テーパーは、液体・気体を通すセパレーターなどの流路、段差を必要とする機構の形状作成、そして、対象を固定して加工の案内を行う治具(補助工具)や、塗装しない面を覆うカバーのようなマスク(マスキング治具)の刻印としても用いられています。
一般的なエッチング加工は、テーパーが出っ張った仕上がりになります。しかし、使用する際にほかの部材と接触すると不具合がある場合など、用途に合わせて「凹みテーパー」が用いられることもあります。
凹みテーパーは業者によっては微細に加工することも可能です。その場合、放電加工やレーザー加工といった技術を用いますが、凹みテーパーのような形状は難しく高精度な技術が必要となります。
「出っ張りテーパー」は、エッチングでできた通常のテーパーよりもさらに先端をとび出させたい際に活用されている加工方法です。出っ張りテーパーは鋭利な刃物などに利用することができ、例えば医療用メスなどにも用いられている加工技術です。
ただし、テーパーの先端は鋭く尖っているためにハンドリングでの取り扱いには注意が必要となります。
納品までの期間が比較的短く、しかも価格を抑えながら精密で微細な形状を再現できるエッチング加工には大きな魅力があります。
しかし、薬品を用いて金属を腐食させて溶かすという加工方法であるため、耐食性の高いものは加工するのが難しく、そもそもできない業者もあります。
エッチングテーパーについても、加工を扱っていなかったり、苦手としている業者が存在します。
そこでエッチングテーパーをほどこしたい場合には、それを得意としている業者、加工を取り扱っている金属が豊富な業者などがおすすめです。
※選定基準…Googleにて「エッチング加工」と検索した際に表示されるエッチング加工会社27社の中から、ISO9001を取得している国内生産会社をそれぞれ以下の基準で選出しています(2022年2月3日調査時点)。
・まず相談するべきエッチング加工会社…1個から制作可能で、図面の設計~複合加工まで対応している会社
・大量生産対応のエッチング加工会社…大量生産可能で生産拠点が最も多い会社(5拠点)
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