厳格な定義はありませんが、刃状の工具を使って金属やプラスチック、樹脂などの材料を削ったり穴を開けたりする加工法です。良く知られているものでは、旋盤やフライス盤、マシニングセンタ、ボール盤などがあります。
切削加工の工具には、高速度鋼(ハイス鋼)からダイヤモンドまで幅広い種類があり、ほぼ加工できない素材はありません。精度や粗さの調節などが比較的自由に調整できるのでメリハリのある加工が可能です。
また、板金加工やプレス加工のように材料の厚みなどの制限もほとんど受けませんし、加工のための型をわざわざ準備する必要もなく、図面や加工用のNCコードですぐに加工ができるなど、作業に取り掛かりやすいです。
材料を加熱するなど切削加工を施す為の前工程がないので、設備やエネルギーなどへの投資が不要。
また、作業に必要なエネルギーも少なく、研削加工の約10分の1、放電加工では約100分の1と省エネ。コストを抑えた加工が可能です。
加工作業では切りくずが発生するので、歩留まりへの対応が必要。素材の体積に対して切りくずがかさばるので、その処理に手間がかかります。
特に気を付けたいのが粘りのある材料で、加工中に切りくずが工具にまとわりついて作業スピードが遅くなりやすく、トラブルの原因になることもあります。
工具の刃先で材料をめくりあげ、分離させることで希望する形状に仕上げているので、脆かったり柔らかかったりする材料では仕上がりが荒れてしまうことがあります。
また、熱が発生しやすいので、耐熱性の低いプラスチックなどは溶けてしまう事もあります。
切削加工と同様に金属の薄板を加工する方法にエッチング加工という加工方法があります。化学薬品による腐食作用を利用したエッチング加工との違いを紹介します。
切削加工・エッチング加工ともに金型などは不要のため、試作の製作にはどちらも向いていると言えます。
一方で量産においては、エッチング加工の方が向いていると言えるでしょう。一か所ずつ加工する切削加工はコスト面・納期面から考えても量産には不向き。エッチング加工では複数同時に加工が可能なため量産にも向いています。
どちらも高精度の加工ができます。
切削加工では加工方法にも寄りますが、NC制御のマシニング機械であれば、ミクロン単位の精度で加工が可能。
エッチング加工では写真技術を応用した加工になるため、精密で複雑なパターンの製作が可能です。微細な穴の加工ではエッチング加工の方が向いています。
切削加工では、基本的に加工制限はありませんが、一部軟質材(モリブデンやチタンなど)の加工が難しいという特徴があります。
エッチング加工では、腐食・溶解する材質であれば難削材でも加工が可能。工場によっても異なりますが、軟質材にも対応できます。
切削加工ではt=0.5㎜~加工することができます。また厚いものは加工が可能。
一方でエッチング加工では、厚みの限度はt=2㎜程度。薄さの限度はt=0.005㎜程度です。
薄い加工はエッチング加工、比較的厚みのある加工は切削加工の方が向いていると言えるでしょう。
切削加工は、加工にかかるコストが安価で、大抵の材料は加工ができる便利な加工方法です。ただ、削ることによる切りくずの処理や素材との相性、物理的に入らなければ加工することができないといったやりにくさがあります。
このサイトでは、エッチング加工を特集しています。切削加工と比較して、量産や薄い材料の加工に向いていて、バリや歪みが出にくいというメリットがあります。合わせてご確認ください。
※選定基準…Googleにて「エッチング加工」と検索した際に表示されるエッチング加工会社27社の中から、ISO9001を取得している国内生産会社をそれぞれ以下の基準で選出しています(2022年2月3日調査時点)。
・まず相談するべきエッチング加工会社…1個から制作可能で、図面の設計~複合加工まで対応している会社
・大量生産対応のエッチング加工会社…大量生産可能で生産拠点が最も多い会社(5拠点)
・特殊素材対応のエッチング加工会社…最も対応している素材の種類数が多い会社(21種類)