一口にエッチング加工といっても、種類があります。それぞれの加工の種類によってできること、得意なことが異なるため、適した加工方法を選択することが重要です。
エッチング加工は、大きく分けるとウェット加工とドライ加工の2種類に分類されます。それぞれどのような加工方法なのかについて紹介します。
ウェット加工とは、材料を除去する際に酸性やアルカリ性溶液の腐食性を使用してエッチング加工する方法です。プリント配線板のほか、ガラスの装飾や加工などで多く使われています。 基盤を薬液に浸すディップ方式のほか、薬液を基盤に噴霧して加工するスプレー方式、他にも、回転台に基盤を取り付けて医薬液を滴下する形で加工するスピン方式などの加工方式が代表的です。
ドライ加工とは、真空装置の中でガスをプラズマ化することにより発生するイオンの力を使い、エッチング加工する方法です。 イオン衝撃の力を活用した物理的なエッチングであるスパッタエッチングのほか、化学反応を使用したプラズマエッチング、物理的エッチングと化学反応によるエッチングを組み合わせた反応性イオンエッチングなどの加工方式があります。
ウェット加工と、ドライ加工のどちらを選択するのかによってメリットが異なります。代表的なメリットは、それぞれ以下のとおりです。
ウェット加工は、基本的に等方性の加工を行うのに適した加工方法です。エッチング液に添加剤を配合するなど、工夫はしなければなりませんが、やり方によっては異方性エッチングに対応することも不可能ではありません。 とても広い用途で使用されており、非常に細かい回路に適しているといった特徴があります。
また、コスト面でも優れている方法です。ドライ加工と比較するとコストが安く、生産性が高くなります。生産性の高さを重視している場合は、ウェット加工から検討してみてはいかがでしょうか。 装置もドライ加工と比較すると安いため、ランニングコストとイニシャルコストの両方において優れています。
また、ドライエッチングとは異なり、基板へのダメージが少ないのもウェットエッチング加工のメリットです。対象物に対し、できるだけダメージを与えずに加工できる方法を探しているのであれば、ウェットエッチングが適しているでしょう。
ウェット加工では主に等方性の加工を行うことになりますが、ドライ加工では異方性のエッチング加工が行えます。また、ウェット加工とは異なり、洗浄が必要ないのもメリットといえるでしょう。
装置の価格はウェット加工と比較して2倍以上かかってしまいますが、ウェット加工よりも高いナノレベル精度で加工ができるため、精度を重視する場合にはドライ加工が向いています。 例えば、半導体回路などについていえば、ウェットエッチングでは対応が難しく、ドライエッチングが求められるケースが多いです。
精度の高さはありますが、費用がかかることもあり、必ずしもウェット加工よりも優れたエッチング方法ということはできません。コストを重視するのか、精密さが必要になるのかによってウェット加工とドライ加工から適した方法を選択することになります。
※選定基準…Googleにて「エッチング加工」と検索した際に表示されるエッチング加工会社27社の中から、ISO9001を取得している国内生産会社をそれぞれ以下の基準で選出しています(2022年2月3日調査時点)。
・まず相談するべきエッチング加工会社…1個から制作可能で、図面の設計~複合加工まで対応している会社
・大量生産対応のエッチング加工会社…大量生産可能で生産拠点が最も多い会社(5拠点)
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