エッチングは腐食作用を利用して表面加工を行う技術のこと。ドライエッチングでは高真空プラズマを用いてウエハ上の不要な層を取り除きます。ドライエッチングは微細な加工が可能であり、半導体回路の製造で重要な役割を担っています。
ドライエッチングでは高真空プラズマを利用します。まず真空環境下でエッチングガスをプラズマ化します。そして被加工材にイオンをぶつけて削ることで不要な層を取り除きます。
ドライエッチングには「ガスエッチング」と「スパッタエッチング」「反応性イオンエッチング」の3種類の方式があります。ガスエッチングでは化学ガスでエッチングを行い、スパッタエッチングでは不活性ガスを用いて物理的にエッチングを行います。また、反応性イオンエッチングでは反応性ガスと不活性ガスのイオンでエッチングを行い、ドライエッチングの一般的な方式といわれています。
エッチングには、ドライエッチングの他にウェットエッチングという方法があります。今でこそドライエッチングは半導体回路の製造に欠かせないエッチング手法ですが、以前はウェットエッチングが用いられていました。ウェットエッチングでは薬液を用いて化学反応を起こすことで不要な層を除去します。
ドライエッチングのように微細な加工は行えないものの、安価なコストで大量生産にも対応できるというメリットがあります。
なお、ウェットエッチングが基本的に等方性であるのに対し、ドライエッチングの多くは異方性です。
物理的な衝突作用と化学反応を組み合わせた反応性イオンエッチングでは、ガスをプラズマ化させて基板の表面を削ります。このとき基板にイオンを衝突させることで、プラズマに含まれている物質と化学反応を促します。ドライエッチングではナノレベルでの加工を行うことができるため、精密な加工が可能です。
ドライエッチングは微細な加工が得意であり、ナノレベルでの加工ができます。ただし、等方性である化学エッチングでは微細な加工が困難。微細な加工を実現するためにはスパッタエッチングや反応性イオンエッチングのような物理的なエッチングを選ぶ必要があります。なお、スパッタエッチングは異方性ですが、イオンの衝突から生じる物理反応を利用するためエッチング速度が遅いのがデメリット。その点反応性イオンエッチングでは物理と化学反応を利用するため、スピーディかつ正確な微細エッチングが可能です。
微細化が進む半導体回路の製造のほとんどにおいて、ドライエッチングが用いられています。半導体製造において、ラフな回路はコスト削減のためウェットエッチングを行い、微細な回路はドライエッチングを選択するのが一般的です。しかし近年では半導体の回路が微細化しているため、エッチング工程の9割以上がドライエッチングだといわれています。
ドライエッチングに必要なコストは安くありません。プラズマを発生させるための装置は高額であり、ウェットエッチングの装置の倍以上のコストがかかるといわれています。そのため、コストを重視したい場合はウェットエッチングが適しています。ただしウェットエッチングでは微細な加工ができないため、加工精度を重視したい場合はドライエッチングを選びましょう。
プラズマによって基板を削るドライエッチングでは、加工時に基板に傷をつけるリスクがあります。一方ウェットエッチングでは化学溶液を用いるため、エッチングによって基板を傷つけるリスクを抑えられます。
プラズマを用いて加工を行うドライエッチングには高額なコストがかかりますが、微細な加工が可能です。そのため、微細な回路を作成する半導体製造ではドライエッチングを選ぶのが一般的。ナノレベルでの加工が必要な場合はドライエッチングを選びましょう。
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