ステンレスは、金属の中でも錆びにくいと言われている物質です。このページではステンレスの特徴の他に、ステンレスをエッチング加工した事例などを紹介します。
スプーンやフォーク、家電製品、携帯電話、パソコン、自動車など身近なところで多用されているステンレスは、鉄を主成分にクロムを含んだ錆びにくい合金です。
錆びやすい鉄に変わる金属として発明され、製造技術、加工技術の向上からも、他の材料と比べても使われることが多いです。
ステンレスは、クロムの含有量が多いほど錆びにくくなります。耐食性・ 耐熱性・加工性・強度と優れた特性を備えており、メンテナンスも容易。
電気を通しますが金属の中では比較的通しにくい素材です。100%リサイクル可能なのでエコの観点からも注目されています。
ただ、熱伝導率が低いので加工時に発生する熱が逃げにくく、工具への負担も大きいことからも難削材と言われています。
ステンレスには「オーステナイト系」「マルテンサイト系」「フェライト系」「オーステナイト・フェライト(二相)系」「析出硬化系」の5種類があります。これらは、含有物の量と熱処理により性質が変化するため、用途に合わせた選択を行うことが可能です。ここでは、それぞれの特徴についてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
「オーステナイト系ステンレス」は最も種類の多いステンレス鋼です。耐食性や延性、靭性に優れているほか、冷間加工性や溶接性も良いといった特徴を持っています。さらに、オーステナイト系ステンレスは基本的には磁性を持っていないものの、塑性加工を行った際に磁性を持つようになるケースもあります。
オーステナイト系のステンレスは幅広い用途で使用されており、例えばさまざまな家庭用品や建築用、自動車部品といったものが挙げられます。
代表的なオーステナイト系ステンレスとしては、18クロム(Cr)-8ニッケル(Ni)のSUS304があります。他にも多彩な種類があるものの、添加物の量を変える・別途追加することによってさまざまな特性の付与が可能です。例えば、SUS316はモリブデンを追加して耐食性を向上させた素材となっています。
またオーステナイト系ステンレスは、熱処理によって非常に高い硬度を持つ点も特徴のひとつといえます。
「マルテンサイト系ステンレス」とは、高い強度と耐摩耗性、靭性を特徴として持っているステンレス鋼です。代表的なものとしては、SUS403、SUS410の13クロム系のステンレスが挙げられます。マルテンサイト系のステンレスは、焼き入れによって硬化する性質も持っています。そのため、熱処理条件と成分の選択によって広い範囲の性質を得ることが可能となります。
また、実際に使用される場合には棒鋼、平鋼といった形で用いられるケースが多いステンレスとなっており、例えばタービンブレードやシャフト、ノズルといったような高い強度や耐食・耐熱性を必要とする機械構造用部品などに使用されています。
「フェライト系ステンレス」は、常に磁性を持っているとともにマルテンサイト系ステンレスよりも耐食性・溶接性・成形加工性に優れていますが、強度面においてはステンレス鋼の中では低いといった面もあります。また、結晶構造が安定しているという特徴も持っているため、熱処理では硬化することがありません。
フェライト系ステンレスの代表的なものとしては、SUS430、SUS444などがあります。実際に使用される場合には、薄板などの形で使用されており、厨房用品や建築内装、自動車部品などで用いられています。
オーステナイトとフェライト系の金属組織を持つステンレスを「オーステナイト・フェライト(二相)系ステンレス」と呼びます。物理的な性質についてはオーステナイトとフェライトのほぼ中間になっており、耐応力腐食割れ性に優れ、強度が高い点に加えて高い耐食性を持っています。また、フェライト系の特性も持っているため、磁性もあるといった点もオーステナイト・フェライト(二相)系の特徴といえるでしょう。
代表的なものとしては、海水熱交換器や製塩プラントに用いられているSUS329J4Lがあります。
析出硬化によって強度を高めたステンレス鋼であり、主なものとしてはSUS630、SUS660があります。このステンレス鋼は、焼入れを行ったマルテンサイト系のステンレスと同じ程度の強度を持っていることから、強度・耐食性が求められる部品として用いられています。例としては、飛行機やロケットの構造材やエンジン部品などに使用されています。
ただし、析出硬化系ステンレス鋼は原材料が高価である点や製造が難しいといった面もあります。
フォトエッチング加工にてφ0.05㎜(φ50ミクロン)以下の微細穴を仕上げた事例です。
厚み調整に用いられるシム(スペーサー)の事例です。
エッチング加工を用いて開口幅の多孔加工を行った事例です。編み込みのフィルターと異なり、1枚の板から製作することで段差がなく洗浄しやすい特徴があります。応力による変更を起こすことなく製作できます。
プレス加工では難しい小さいばねの高精度加工が、エッチング加工で実現できた事例です。バリやゆがみのない製作が可能です。ステンレスで製作することで錆に強く、十分に強い反発力と復元力を有する部品となります。精密板バネやシム板、建築機器部品等などに使われます。
パターン再現性の高いフォトエッチングを行って高精度のピッチ寸法を可能とした事例です。複合加工では、樹脂や金属のハブなどをつけることができます。エンコーダ用ディスクは、ロータリーエンコーダー装置に組み込まれる円盤形状のスケールです。エンコーダ装置がスリットデータを読み取って位置動作を制御します。高解像度向きではありませんが、安価に生産できるメリットがあります。最小スリット幅は0.08㎜、最小ピッチ公差は±0.003mm、ディスクとしては同軸度0.02mm以上、内径精度±0.015mmとなっています。
エッチングを用いれば歪レス加工で多孔シム(スペーサー)を0.2㎜という薄さで製作した事例です。様々な加工方法から製品に合った加工方法を選定、形状によって適した加工方法を適用します。ステンレスは板厚の種類が豊富で、5ミクロンから用意可能です。「こだま」では、板厚保証公差は±5μとなっています。
手加工用のメタルマスクの事例です。手のひらサイズ以下のメタルマスクは、加工によるゆがみをほぼゼロに押さえられており、0.01mm刻みで様々な厚さに対応しています。箔材も加工できる熱影響の少ない加工で製作をしており、数量や仕様に合わせた加工で対応しています。「こだま」では、1個から数千個単位での制作が可能となっています。
複雑な形状の板ばねを極薄の材料で加工によるゆがみなく製作した事例です。ステンレスのばね材の中でもよく使用されるSUS304を使用。形状や厚さ、材質、数量に合わせた加工で様々な板ばねが制作可能。板厚精度が±数ミクロン単位となっているので、高鮮度シムプレートとして使用できます。0.2㎜までの厚さであれば高精度なシムプレートが製作できます。
ステンレスは丈夫であることからも、身の回りのものから工業製品まで、様々なところで使われています。また、再利用ができることからも環境に優しい金属といえます。
エッチング加工業界において、ステンレスは特に加工されやすい素材。基本的にどこのエッチング加工会社も取り扱っています。
しかし、提供しているサービスの内容は会社によって様々です。このサイトでは、初めてエッチング加工を依頼するなら、大量生産を依頼するならなど、ニーズに合ったおすすめの会社を紹介しているのでぜひ参考にしてください。
※選定基準…Googleにて「エッチング加工」と検索した際に表示されるエッチング加工会社27社の中から、ISO9001を取得している国内生産会社をそれぞれ以下の基準で選出しています(2022年2月3日調査時点)。
・まず相談するべきエッチング加工会社…1個から制作可能で、図面の設計~複合加工まで対応している会社
・大量生産対応のエッチング加工会社…大量生産可能で生産拠点が最も多い会社(5拠点)
・特殊素材対応のエッチング加工会社…最も対応している素材の種類数が多い会社(21種類)