難しい極小極薄・複雑形状を得意としているエッチング加工は、多種多様な素材を使った加工が可能。電子部品、電気部品、自動車部品、医療機器、光学関連、事務機器と様々な分野での製品製造に使われています。
エッチング加工ができる素材は、基本的に腐食性のある素材です。ステンレス、鉄、銅、銀、ニッケル、アルミニウム、タングステン、チタン、ニクロム、モリブデンなどが挙げられます。
工場によっては対応できる種類が異なりますので、依頼の際には注意が必要です。ここではエッチング加工で特に依頼が多い素材について解説しています。
丈夫で錆びにくい特徴から、様々な製品に使われているステンレス。100%リサイクル可能なことからも、環境にも優しいと注目されています。
また、ステンレスの種類は100種類以上あり、オーステナイト系やフェライト系、マルテンサイト系と様々。取扱っている種類については、定番から珍しいものまで企業においても若干の違いがあります。
太古から武具や農具、祭事用の道具などに使われてきた銅は、今でも生活のいたるところで目にするポピュラーな金属です。身近なものでは、10円玉硬貨があります。
銅には青銅や純銅、真鍮(黄銅)、白銅、洋白、クロム銅、ベリリウム銅と種類も多く、飴色でアンティークっぽい色合いから装飾品として使われることもあります。
1790年に発見されたチタンは、日本の高度経済成長期を支えた金属として、約70年あまりにわたって様々な分野で使われてきました。軽量・高強度・耐食性に優れていることからも、宇宙産業分野や飛行機、船などでもお馴染み。
チタンは扱いづらい面があり原料も高価ですので、その特性を良く知っている業者に依頼することで、希望通りの製品ができます。
日常生活でもよく目にするアルミには、純度100%の純アルミニウムと、他の元素を添加して機能性を高めたアルミニウム合金があります。
軽い、加工しやすい、強い、錆びにくい、電気を良く通し磁気を帯びない、熱伝導率がよく低温に強い、光や熱を反射するなど、様々な特性を持っています。また、リサイクルしやすく環境に優しい金属です。
鉄は自動車や造船、建築、家電、容器、缶、産業機械など、私たちの身の回りのさまざまな物に使われている金属です。
硬くて強度がある素材ですが、熱処理によってさまざまな形や硬さに変形でき、自由度が高い素材といえます。
タングステンは硬度があり、熱に強く、重量がある素材で、スウェーデン語で「重い石」という意味を持っています。硬度はダイヤモンドの9に次ぐ9ランクで、融点は3380℃、重さは鉄の2.5倍もある素材です。
あまり馴染みのない金属かもしれませんが、自動車や家電、照明など身の回りのものにも使用されています。また、医療機器や半導体などにも用いられています。
レアメタルの一種であるニッケルは、錆びにくいのが最大の特徴です。海水や化学物質に対しても錆びにくいため、耐腐食性が必要な際にニッケル合金として用いられます。また、ニッケルメッキとして使用し、金属の表面を錆びにくくするためにも使用されます。
ニッケルは硬貨に用いられている他、自動車やスマートフォン、医療、建築などさまざまな分野で使用されている素材です。
ニッケルを主体とし、クロム・鉄・炭素などのさまざまな合金成分を加えた素材をインコネルと言います。
インコネルは耐腐食性に優れている上、高い耐熱性も兼ね備えています。一方で、それが原因となり、一般的な化学薬品による表面処理が難しいのが特徴です。インコネルなどのニッケルなどの耐食合金用のエッチング剤も生まれています。
ハステロイもインコネル同様、ニッケルを主体とする素材です。ニッケルにモリブデンや鉄、クロムなどの合金成分を添加することで、耐腐食性・耐熱性を高めています。
インコネルと同じく一般的な化学薬品による表面処理が難しいため、耐食合金用のエッチング液で表面処理されます。
モリブデンはレアメタルの一種で、ハステロイなどの合金成分として添加されることもあります。モリブデンの含有率99.9%〜99.99%のものが、純モリブデンと呼ばれます。
エッチング加工の難易度が高い素材と言われており、加工には高い技術が必要です。電球や真空炉、電極などに用いられます。
ITOは、酸化インジウムスズのことです。大きな特徴のひとつに高い透明度があります。光透過率は約90%。電導性もあることから、視認性が要求される液晶画面などに活用されている素材です。硬く脆い性質があるため、曲げる使用には向いていません。外観の美しさが要求される部位に使用されることが多く、デリケートな素材のため、加工には高度な技術が必要です。
ニクロムは、ニッケルとクロムを配合したニッケル合金の一種です。電熱性が高く、電熱用発熱材料として、電気ストーブや電気コンロなどによく使われています。ニッケルの配合量によっては、1100℃までの耐熱性を持たせることが可能です。一般的には、ニクロム線と呼ばれる線の状態ですが、リボン状のものもあります。
コバールは、鉄にニッケル、コバルトを配合した合金です。鉄54%、ニッケル29%、コバルト17%で配合されています。常温での熱膨張率が金属の中では低く、硬質ガラスやセラミックスと広い温度範囲で一致するのが特徴です。粘りが強く、旋盤、マシニングでの加工が難しい材料ですが、絞り加工性はSUSと同等とされています。硬質ガラスやセラミックスとの封止、ICリードフレームや水晶振動ケースなどに使用されています。
ウェットエッチングはラフな回路の作成に適したエッチング方法です。硫酸や硝酸といった化学溶液を用いてウエハ上の不要な層を除去します。ウェットエッチングは安価なコストで行えるメリットがあり、微細な回路作成は行わずにコストを抑えたい場合に向いています。
ドライエッチングは高真空プラズマによってウエハ上の不要な層を除去する技術です。微細な加工が得意であり、半導体回路の製造のエッチング工程ではほとんどがドライエッチング。ただしドライエッチングの装置導入には高額なコストがかかるため、用途や目的に応じたエッチング方法を選ぶことが大切です。
エッチングの反応がすべての方向へ行われるのが等方性エッチングです。等方性ではレジストの下までえぐるように腐食します。そのため、エッチング液と被加工材が反応速度の速い組み合わせの場合に等方性が用いられます。
異方性エッチングでは、エッチングの方向が一方向へ向かって行われます。エッジの立った加工が可能であり、レジストの下をえぐることがありません。そのため精度の高い加工が可能です。
レジストとはエッチング加工をほどこしたくない部分に塗布される皮膜です。
エッチングレジストには種類があり、保護膜形成プロセスによって「フォトレジスト」や「スクリーン印刷レジスト」に分けられています。
さらには保護膜の使用目的によっても分類されており、「エッチングレジスト」・「めっきレジスト」・「ソルダーレジスト」などの種類があります。
※選定基準…Googleにて「エッチング加工」と検索した際に表示されるエッチング加工会社27社の中から、ISO9001を取得している国内生産会社をそれぞれ以下の基準で選出しています(2022年2月3日調査時点)。
・まず相談するべきエッチング加工会社…1個から制作可能で、図面の設計~複合加工まで対応している会社
・大量生産対応のエッチング加工会社…大量生産可能で生産拠点が最も多い会社(5拠点)
・特殊素材対応のエッチング加工会社…最も対応している素材の種類数が多い会社(21種類)