治具を製作する方法にはプレス加工や切削加工などさまざまありますが、ここではエッチング加工で製作する治具についてご紹介します。エッチング加工で治具製作を行うメリットの他、依頼するならおすすめのエッチング会社などをまとめているので、治具製作を検討している方はぜひ参考にしてください。
金属加工方法の一つで、化学薬品の化学反応・腐食作用を利用したもの。図面やデータをもとに作成した原版を用いて耐食膜を形成し、腐食液(エッチング液)によって不要部分を除去することで、希望の形状に加工することができます。
精密な写真画像で加工形状を決めることができるため、ミクロン単位での複雑微細な形状パターンが可能です。
エッチング加工による治具は、加工した金属板を複数枚重ねて積層することで作られます。このような方法で治具を製作するメリットをまとめました。
エッチング加工で治具を製作する大きな魅力が、数量が増えた際のコスト。
特にチップ形状の部品を搬送する為のトレイのような、小さなポケットがたくさん配置された複雑な形状の治具の場合、切削加工などの一か所ずつ加工していく加工方法では、数量が増えても納期・コスト面においてメリットが出ません。
しかし、エッチング部品を積層して作る治具であれば1度に複数の加工ができるので、数量増に伴い、コスト面でのメリットが大きく出ることが多いのです。
エッチングはプレス加工やマシニングのように物理的に切ったり削ったりするのではなく、またレーザー加工のような高熱を伴うこともありません。化学反応を用いて金属を「溶かして」加工するのが大きな特徴です。
そのため、他の多くの加工と違い、加工によるバリやカエリ、熱変形などが生じにくく、高品質な治具を作成することができるのです。バリ取りの工数がなくなるので短納期にもつながります。
エッチング加工での治具製作で、取引会社が100以上(2022年3月調査時点)もある「東洋精密工業」様にご協力いただき、エッチング加工で製作された治具の事例と、その加工を依頼したお客さんの声をまとめました。
東洋精密工業は1971年の創業以来、エッチング技術を中心に事業を行ってきたエッチング加工会社。治具の製作だけでなく設計から対応してくれるので、「図面がない」というお客さんも気軽に相談できますよ。
切削加工による削り出し品の治具を使用していたが、数量が増えても単価が大きく下がらない為、コスト高となり困っていた。
エッチング加工+拡散接合による治具製作をご提案。それまでエッチングでの治具作成経験が無かったことから、どのような図面を描けば良いか分からないとのことだったが、元の切削加工品の図面を元に東洋精密工業で積層構成を検討、図面化した。
エッチング加工に詳しくないお客さんのため、切削加工品の図面を元にエッチング加工品に置き換えるのに適切な構成をご提案し、大幅なコストダウンに繋がったことに喜んでいただいた。
治具サイズが1,000mm超と大型で、当初検討していたレーザーカットでは価格が非常に高くなり困っていた。
分割して作成することでコストを大幅に低減できるため、治具を2分割してエッチングにて作成することをご提案。
お客さまのところで溶接して組み立てる治具なので、溶接はお任せして完成となった。
溶接の工数は多少増えるが、トータルでは大幅なコストダウンに繋がったと喜んでいただいた。
※CCMT…エッチングで形成したバネ(マイクロスプリング)を用い、ポケットにチップ(ワーク)をクランプする機能を組み込んだ特許技術をもつオリジナルの金属製トレイです。
基板検査工程で搬送キャリアを使用していたが、できるだけ基板が動かないようにポケットと基板の隙間を狭くしていた為、基板の出し入れがしにくく作業性が悪かった。
基板を出し入れする時だけポケットを広げられるCCMTをご提案。基板をクランプしている時には基板が動くこともなく、出し入れは簡単に行うことができるようになった。
「これまでの3倍以上の効率化ができ、導入した検査工程で非常に喜ばれた。今後もこの治具を使いたい意向であると話があった」と担当者様よりメールいただいた。
東洋精密工業では、図面があってもなくても柔軟に対応してくれます。図面がない場合は、治具で取り扱いたいワークのサイズ、治具自体のサイズ、材質の希望、使用プロセスと使用環境などをヒアリング。その内容を元に設計担当者が図面を作成してくれます。
営業担当者がお客さんの元へ直接訪問する他、TEL、メール、WEB会議での対応も行っているので気軽に相談することができます。
お客さんの要望にただ応えるだけでなく、コスト面・納期面・精度面でよりメリットの出せる方法が無いかを検討し、提案しています。より良いと思われる案が出てくれば積層構成の変更やエッチング以外の加工方法での提案も行ってくれます。
初めての依頼で、「本当にエッチング加工がベストなのか?」という相談にも乗ってくれるので、治具製作を考えている方は一度相談してみると良いでしょう。
今回編集チームでは、このページを作成するにあたり、取引実績が多数ある東洋精密工業様にお話を伺いました。
細かい指定や図面が無くても柔軟に加工方法や設計方法を提案してくれるのは、1971年からエッチング加工を中心に事業を推進してきたことで蓄積してきたノウハウがあるからこそだと言えるでしょう。
インタビューに応えてくれた石井様はじめ、とても温かな雰囲気がある会社。加工に詳しくない方も、相談しやすい良きパートナーとなってくれます。治具製作を考えている方はぜひ一度相談してみてください。
所在地 | 【本社工場】奈良県橿原市新堂町376-1 【五條工場】奈良県五條市近内町1104-7 北宇智工業団地内 |
---|---|
認証資格 | ISO9001・ISO14001取得 |
営業時間(定休日) | 9:00~17:00/土・日・祝日 |
電話番号 | 0744-23-9160 |
公式URL | https://www.toyo-ppm.co.jp/ |